Kid Cudi – Man On The Moon – に想いをはせる夜

Kid Cudi concert To the Moon World Tour

昨日、サッカーの日本 vs. メキシコ親善試合を観に行ってきました!惜しくも0-0の引き分けでしたが、日本チームの頑張りに大興奮で、応援もめいっぱい楽しめました。

会場はオークランドにある、元アスレチックスの球場。今ではスポーツ以外にもコンサート会場として活用されていて、隣には、かつてバスケのゴールデンステート・ウォリアーズの本拠地だったアリーナもあります。現在はこちらもコンサート用に使われていて、私も数年前、Kid Cudiのライブをここで観たことをふと思い出しました。

その記憶がよみがえってきて、久しぶりにKid Cudiモードに入っています(笑)そんなわけで今回は、私の大好きなKid Cudiについて、あらためて想いをめぐらせてみたいと思います。

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Kid Cudi ワールドへ

Kid Cudi concert in Oakland arena

そのコンサートは、2022年の「To the Moon World Tour」。Kid Cudiにとって約5年ぶりのワールドツアーで、『Man on the Moon III: The Chosen』を中心にしたライブでした。

まず驚いたのが、Kid Cudi のファンがとにかく礼儀正しいこと(笑)。グッズの購入やトイレに並んでいるときも、「お先にどうぞ」、ぶつかっても「Sorry!」と言われたり。日本では当たり前でも、アメリカでは珍しい光景で、なんだか嬉しくなってしまいました。

会場全体にはマリファナの煙がゆるく広がっていて、空気はちょっとくすんでいたけれど、不思議と悪い気はしない(笑)。むしろ、みんながひとつの空気感を共有しているような、どこかやさしい雰囲気がありました。

ファンみんなが一緒に歌いながらCudiと繋がるような、ホッとするようなそんな不思議な一体感。そして何より、生で聴けた「Mmm…」「Hum…」が嬉しかった!Cudiおなじみのあのハミングはなぜか癒されます(笑)。

Kid Cudi の音楽

私が最初に出会った曲は『Soundtrack 2 My Life』。初めて聴いた時は衝撃で、すぐにハマりました。2009年、私は三人目の出産後でジムに通っていて、アルバム『Man on the Moon: The End of Day』は、私にとってワークアウトする際のテーマソングになっていました。

バトルラップ的な、韻を踏みまくる“ヒップホップ”とはまったくの別物。ビートに乗っているのに、まるで日記を読むように淡々と、心の声を語る。ゆるいテンポのメロディに合わせて、悩みや孤独、精神状態を静かに吐露するその独自なスタイルに、すぐにCudiにアディクトになりました。ジャンルとしては、ヒップホップ × エレクトロ × オルタナティブ × インディ・ロックに分類されていますが、そんな枠すら軽く飛び越えてしまう、Cudi だけの音楽世界があります。

アルバム「Man on the Moon」は、Kid Cudiの人生・精神・夢を象徴する3部作。孤独、不安、夢、自己不信、現実逃避、そして希望。そんな感情を、あくまで淡々と表現していて、聴いていると心にグッときます。作品ごとに、ヒップホップ色が強いもの、ロックっぽさが際立つものなど、その時々の Cudi の影響や気分が色濃く出ていて、それも面白いです。

Kid Cudi とは

Kid Cudi は、ラッパー、シンガー、ソングライター、そして俳優としても活躍するアーティスト。
楽曲の多くは、彼自身の内面や人生経験をもとにしていて、感情の揺れや葛藤、夢への想いなどを、独自の視点で描き出しています。ヒップホップというジャンルの枠にとどまらず、どこか詩的で、時に映像的でもある表現が、彼の音楽の大きな魅力です。

2008年にミックステープ『A Kid Named Cudi』を発表し、Kanye West に見出されて GOOD Music と契約。翌年のデビューアルバム『Man on the Moon: The End of Day』で一躍注目を集め、「Day ‘n’ Nite」などのヒット曲も生まれました。Kanye とは、のちに一緒にアルバムを作るほど仲が良くなりましたが、その後いろいろ衝突もあり(というかKanyeが変?!)、関係は一筋縄ではいかないようです。

最近では、Netflixでアニメ作品『Entergalactic(エンターギャラクティック)』を発表。同名のアルバムもリリースされていて、ポップでメロウで、どこか夢の中にいるようなサウンドが魅力の1枚です。アニメ作品自体もとても面白くて、私はつい何度も観てしまいました。映像のタッチはスパイダーマンのアニメ(『スパイダーバース』)にも少し似た雰囲気があって、ストーリーと音楽の一体感がとても心地よいです。

さらに、ファッションの分野でも活躍していて、Louis Vuitton のランウェイに登場したり、自身のブランド「Members of the Rage」では UFO ロゴがトレードマークになっています。音楽だけではなく、生き方そのものがアートのような人です。

Kid Cudi walking on the run way Luis Vuitton
Louis Vuittonのランウェイを歩くKid Cudi (by Getty Images)

Man on the Moon

Kid Cudi concert To the Moon World Tour
月の映像がスクリーンに浮かび上がったラストシーンでは、会場全体が湧き上がりました!

Kid Cudi といえば、大きな月に横向きの彼が重なるジャケットが有名です。Cudiがそんなに月にこだわる理由は何だろう?といつも思っていました。

Cudi にとって「月へ行く」というのは、心を回復させるための旅で、彼の音楽が多くの人の心に響くのは、孤独や不安を感じたときに、「月」へ一緒に連れていってくれるような感覚があるからかなと、Cudi を聴きながら思いました。Cudi, Man on the Moon.

“I feel like I’m not from here sometimes. I always imagine myself up there, on the moon.”
時々、自分がこの世界の人間じゃない気がするんだ。いつも自分が月にいる姿を想像するよ。
— Kid Cudi(インタビューより)

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