【列車の旅 Vol.3】カリフォルニアからシカゴへ、アムトラック・ゼファーの旅

Amtrak
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いよいよカリフォルニアを出発!

エミリービル(Emeryville)駅

アムトラックの旅は、カリフォルニア州エミリービル(Emeryville)駅からスタート。出発は午前8:25と早めなので、私たちは前日に駅近くのホテルに宿泊しました。朝は軽めの朝食を済ませ、ウーバーで10分ほどかけて駅へ。

駅に着くと、真夏なのに冷たい風が吹き、びっくり!薄手の上着はあるものの、サンフランシスコ湾特有の冷え込みは予想外。特に高齢の母には、ダウンジャケットが必要だったと反省しました。夏でも防寒対策は必須ですね(結局、シカゴのユニクロで調達できました!)

エミリービル駅には売店があり、コーヒーやスナックを購入できます。また、出発の1時間前からは、大きな荷物をチェックインカウンターで預けることも可能です。ただし、飛行機と同じく、預けた荷物は目的地まで取り出せません。

私たちは個室を予約していたので、スーツケースを部屋に持ち込みましたが、限られたスペースにスーツケースを2つ置くのも、広げて中から物を取り出すのも、ほんとうに至難の業でした(笑)。

車内には共有の荷物置き場もありますが、スペースが限られていて、混雑すると使いづらそう。しかも鍵がなく、ただ棚に置くだけなので、防犯面もちょっと心配です。
目についたのは、貴重品や必要なものだけを小さなバッグにまとめて、さっと個室に持ち込んでいる人たちの姿。限られたスペースを無駄なく使えて、なるほど、こうすればいいのかと感心しました。旅慣れた経験者、さすがです。

乗車の際は、コーチクラスの場合は並んで席を取りますが、個室は部屋番号が事前に決まっているため、焦らずに乗車できます。ちなみに、私たちの列車は出発が30分ほど遅れましたが、それもまたアムトラックらしい(?)。さあ、50時間以上におよぶ壮大なアメリカ横断の旅が始まります!

個室(Roomette)とは

Amtrak room
向き合って座る席が、のちに下段のベッドになります。
Amtrak bed
上段ベッドには、安全ベルト付き。

ルーメット(Roomette)の個室は1階にあり、向き合って座る椅子2つ、カーテンと鍵付きのドアもあり、プライバシーと安全面でもよかったです。夜は、椅子が下段のベッドになり、上段からもう1つベッドが出てきます。正直、とっても狭い(笑)。必要なものにはなんでもすぐ手が届くので、便利でした(笑)

驚いたのは、夕食中に係の人が部屋に来て、ベッドメイクをしてくれることです。2段ベッドをセットし、毛布やマットレスカバーなどを付けておいてくれるので、とても助かりました!朝も朝食に行っている間に、ベッドを椅子に戻しておいてくれます。これはありがたいサービスでした。ホテル同様、枕元にチップを置いて感謝の気持ちを伝えました。

View from the train
個室の窓からの眺め
Amtrak hallway
個室エリアはこんな感じで、両側に個室が並びます。

列車での時間の過ごし方

食堂車、展望車は2階にあります。展望車はすべての乗客が利用できますが、席数に限りがあるので、混んでいる時は席が見つからなかったり、相席になります。

食堂車での楽しみ:旅の味を楽しむひととき

食堂車は基本的にファーストクラスの乗客向けです。席に余裕がある場合のみ、コーチクラスも使えるようですが、私たちが乗った時は毎回ファーストクラスだけで満席。営業時間は決まっていて、スタッフが個室を回ってディナーの予約を受け付けてくれるので、その際に時間を決めて予約します。テーブルは4人がけで、2人であれば相席になります。変更や遅れなどがある場合は、車内アナウンスで知らせてくれます。

テーブルにはバラが飾られ、景色を見ながらの食事は優雅な気分になりました。期待はしていなかったのですが、予想に反して(笑)どの料理も美味しかったです。特にディナーのステーキは人気メニューで、ワインやビールといった飲み物に加え、デザートもセットになっていて大満足。ワインやビールなども食事とセットで頼めます(料金込みなのも嬉しいです)。朝食のワッフルも、とても美味しくいただきました。

Dinner in the train
飲み物(ワインやビールでもOK)もセットなので嬉しい
view from train
食事しながら、このビューを楽しめます!
Dinner in the train
コロラド州アーバダ(Arvada)というゴールドラッシュのオールドタウンを過ぎたあたりでディナータイム。ディナーのステーキが美味しくて、2日連続で食べました!
lunch
シエラネバダ山脈を越える峠で、トンネルを通過すると一瞬の暗闇の後に広がる壮大な山の景色が、感動的でした!チキンシーザーサラダも美味しかったです。
dessert
数種類から選べるデザートも毎回ついてます。
breakfast
朝食のフレンチトーストも美味しい。
Dining car

営業時間以外の食堂車。最後の勤務を終える乗務員さんへデコレーションがされていて、ちょっと特別なムード。みんなに慕われていて、愛嬌のいい乗務員さんでした。

展望車で過ごすくつろぎの時間

Observation Lounge
早朝の展望車は空いていて静か。景色をゆっくり楽しみたい人におすすめです。
Observation Lounge
展望車の窓いっぱいに広がる景色。雄大な大地の中を、ゆったり走り抜けていきます。
Observation Lounge
一人がけのイスは、横向きと前向きタイプがあります
View from train
私は前向きのイスがお気に入りでした!

展望車は見晴らしが最高です。アムトラックの路線によると思いますが、カリフォルニアゼファーではWi-Fiが提供されていません。それもあって、普段の日常とは全く違う、ゆったりとした時間が流れているように感じました。地図をたまに確認しながら、窓の外に広がる壮大な景色を眺める贅沢なひとときを満喫。これこそまさに列車の旅。

Observation Lounge
観光のアナウンスがあるとみんな注目!
Amish
アーミッシュの方々と同乗。映画の一コマのように感じました(笑)

展望車では、乗客みなさんが思い思いに過ごしていました。大きなテーブルでトランプを楽しむ親子、おしゃべりに夢中のグループ、読書を楽しむ人や、景色に見入る老夫婦、そしてアーミッシュの方々も見かけました。たまに車掌さんが「コロラド川沿いを通過します」「ロッキー山脈が見えます」といったアナウンスをしてくれ、旅をさらに盛り上げてくれました。

また、食事や展望車ではいつも相席になるため、2日目くらいからは多くの人と顔見知りになります。名前も覚えてるので挨拶を交わしたり、それぞれの旅行の目的や行き先、旅のエピソードについて話したり、家族構成や地元の話に話が広がることもありました。特に食事の席では、旅先のおすすめスポットを教えてもらったり、思いがけない話で盛り上がったり。意外にも私たちのような「母と娘コンビ」が多くてびっくりでした(笑)。相席を組む時に、そういうのも考慮してるのかもしれませんね。こうした出会いも列車の旅ならではで、楽しかったです。

列車の遅れ

実は途中で人身事故があり、車両の点検などのため、列車が2時間ほど止まりました。アナウンスが、急ぎの放送だったためかクリアではなく、詳細はよく聞き取れませんでした。車両に問題がないと確認された後、数時間後に再び走り出し、ホッとしました。

実は途中で人身事故があり、車両の点検などのため、列車が約2時間ほど停車することに。アナウンスは急ぎの放送だったせいかクリアではなく、詳しい内容までは聞き取れませんでした。車両に問題がないと確認された後、数時間後に再び走り出し、ホッとしました。

その夜は遅れを取り戻そうとしていたのか、列車がいつもより速く走っているように感じました。実際には、安全基準内での運行だったと思いますが、上のベッドは揺れがすごい!普段、アップルウォッチで睡眠時間をチェックしていますが、この日は激しい揺れのためか、眠りがだいぶ浅くなりました。ベッドの安全ベルトがこんなに頼もしく感じたのは初めて(笑)。今ではそれもいい思い出です!

デンバーでリフレッシュ

さて、出発してから約35時間、列車はデンバー駅に到着!ここでは1時間ほど停車するので、ホームに出ることができました。食堂車で毎回サービスをしてくれていた乗務員さんはここまでがシフトの終わり(しかも定年退職で最後の乗車)、そして相席で親しくなった親子もここで下車、どちらともハグを交わしてお別れしました。短い旅の間でも、同じテーブルで一緒に食事をして話した時間が思い出され、別れ際にはちょっと寂しくなりました。

ホームからは、「コロラド・ロッキーズ」の本拠地であるクアーズ・フィールドが見え、デンバーの雰囲気を少しだけ味わえました。列車の中で、1日半以上も「座っては食べ、座っては食べ」を繰り返し(笑)、運動不足でムズムズしていたので、ホームを歩くだけでもいい気分転換になりました。

シカゴに到着!

デンバーからシカゴまでは19時間。ロッキー山脈を越えてからは一気に景色が変わり、広大な草原地帯が続きます。ネブラスカ州では、広大な農地でいかにもアメリカ中西部らしい風景。アイオワ州では、牧草地に点在する納屋や風車が、どこか懐かしい映画のワンシーンのよう。イリノイ州に入ると少し都市の雰囲気になってきます。工場地帯や住宅街、そしてだんだんと高層ビルが見えてきました。

予定通り、51時間の長い旅路を経て、シカゴ駅に無事に到着!2日半も列車で過ごしたとは信じられません。結局、途中遅れていたものの、予定通りの2時半に到着したのも驚きでした!

カリフォルニア州(California)から、ネバダ州(Nevada)、ユタ州(Utah)、コロラド州(Colorado)、ネブラスカ州(Nebraska)、アイオワ州(Iowa)、イリノイ州(Illinois)までの旅。

総距離:約 3,900km(2,438マイル)
所要時間:約52時間(2泊3日)

旅の記憶:車窓からの絶景コレクション

ロッキー山脈の渓谷、ネバダの乾いた大地、中西部に広がる果てしない農地。車窓に映るアメリカの風景は、どこを切り取っても絵になるものばかり。そんな印象的な旅のひとコマを、いくつかご紹介します。

ロッキー山脈の中心に位置するアウトドアの楽園と呼ばれる町クレムリン(Kremmling)
View from train
クレムリン(Kremmling)のあたり標高が高く、ロッキー山脈に雪が残っているのが見えました。
View from train
まさにアメリカ西部という雰囲気のバトルマウンテン(Battle Mountain, Nevada)
Colorado river
シエラネバダ山脈を越えると、トラッキー川のラフティングを楽しんでいる人たちの横を通ります。
View from train
ロッキー山脈周辺で、ジプサム(Gypsum)という石膏の産地を通過。
View from Amtrak
ネバダでは広大な砂漠を抜ける時、延々と同じ景色が続きます。
View from Amtrak
ユタ州とコロラド州の境くらいから、岩山が赤みを増してきます。
View from Amtrak
断崖ギリギリを走るので、よくこんな場所に作ったものだと感心しました!
川の流れに寄り添うように走るひととき
View from Amtrak
ネバダの広大な砂漠を通りながら夕日に見とれました。

次は、『長い旅の途中、まずはシカゴに到着!

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